限度額適用認定証で医療費を大幅カット!高額療養費制度の全知識

生活

突然の入院や手術で、思わぬ高額な医療費がかかってしまった――そんなときに頼りになるのが「高額療養費制度」です。でも、「制度の名前は聞いたことあるけど、実際どうやって使えばいいの?」と疑問に思っていませんか?

この記事では、限度額のしくみや認定証の申請方法、実際にいくら戻るのかのシミュレーションまで、初心者にもわかりやすく丁寧に解説します。読んだあとには、もしものときにしっかり備えられるようになりますよ!

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  1. 高額療養費制度は「月ごと」に適用!計算方法と自己負担限度額の基本
    1. 月をまたいだ入院費はどうなるの?
    2. 「外来」と「入院」で計算は別なの?
    3. 世帯合算できる条件とは?
    4. 入院が長期になる場合の注意点
    5. よくある誤解と正しい理解
  2. 「7月の22,000円」はなぜ対象外?高額療養費に該当しないケース
    1. 自己負担が少ないとどうなる?
    2. 過去の医療費はまとめられる?
    3. 月をまたいで受診した場合の落とし穴
    4. 薬局や検診費用は対象?
    5. 注意すべき非対象の費用例
  3. 限度額はどう決まる?所得区分別の早見表とシミュレーション
    1. 前年所得で区分される理由
    2. 区分ごとの自己負担限度額早見表
    3. 所得が変わった年の注意点
    4. 70歳以上の限度額は違う?
    5. 高所得者と低所得者の差
  4. 実際いくら戻る?8月の医療費20万円のケースを徹底検証
    1. 所得別に比較!戻る金額の違い
    2. 健康保険適用後の計算例
    3. 入院・手術・検査の具体的費用と内訳
    4. 医療費控除との併用メリット
    5. 返金までの期間と手続きの流れ
  5. 限度額適用認定証をすぐにもらう方法と注意点
    1. 発行場所と方法(オンライン・窓口)
    2. 即日発行はどこまで可能?
    3. 申請に必要な書類とは?
    4. 国保と社保での違い
    5. 認定証を提示し忘れたら?
  6. 制度を正しく活用するために知っておきたい実例と体験談
    1. 子どもの入院で活用した例
    2. がん治療で数十万円戻った体験談
    3. 限度額認定証を知らずに損した話
    4. 高齢の親の入院に対応したケース
    5. 緊急入院時の備えと準備
  7. 【まとめ】高額療養費制度で損しないための知識と行動リスト
    1. 知っておくべき制度のポイント
    2. やっておくべき行動チェックリスト
    3. これからの備えとして

高額療養費制度は「月ごと」に適用!計算方法と自己負担限度額の基本

月をまたいだ入院費はどうなるの?

高額療養費制度では「1か月(暦月)」ごとに医療費の自己負担額が一定の上限(限度額)を超えた場合、その超過分があとから払い戻されるしくみです。ここでいう「1か月」とは、例えば7月1日~31日、8月1日~31日といったカレンダー上の1か月のことです。つまり、7月25日から8月5日までのように月をまたいで入院した場合は、それぞれの月で計算されるという点に注意が必要です。

例えば、7月に10万円、8月に15万円の医療費が発生した場合、それぞれの月の自己負担額が限度額を超えていなければ、制度の対象にはなりません。月をまたいだとしても、合算して25万円で計算することはできません。これは誤解されやすいポイントなので、しっかり理解しておきましょう。

また、1か月の中で複数の病院にかかった場合でも、同じ健康保険に加入していれば合算できる可能性があります。ただし、外来と入院は別扱いになるケースもあるため、詳細は健康保険組合に確認するのがおすすめです。

「外来」と「入院」で計算は別なの?

実は、高額療養費制度では70歳未満と70歳以上で扱いが異なります。70歳未満の場合は、入院と外来を分けて計算するのではなく、1か月の中で自己負担した医療費をすべて合算して、その合計が自己負担限度額を超えたかどうかで判断されます。

一方、70歳以上の場合は「外来(個人単位)」と「外来+入院(世帯単位)」の2段階で自己負担限度額が設定されています。つまり、70歳以上の方が自分ひとりで通院した場合と、家族全体で医療費がかかった場合で扱いが変わるのです。

また、保険の種類によっても異なります。国民健康保険、協会けんぽ、組合健保などそれぞれの制度ごとに細かなルールがあり、会社員と自営業者で異なることもあるので注意が必要です。

これらの違いを理解することで、医療費が高額になるタイミングに合わせて適切な対応ができるようになります。

世帯合算できる条件とは?

高額療養費制度には「世帯合算」という便利なルールがあります。これは、同じ健康保険に加入している家族の医療費を合算して、自己負担限度額を超えたかどうかを判断できる仕組みです。

たとえば、お父さんが5万円、お母さんが4万円、子どもが3万円の医療費をそれぞれ自己負担した場合、合計で12万円となります。このとき、家族全体として自己負担限度額を超えていれば、高額療養費の支給対象になります。

ただし、「同じ健康保険」に加入していることが前提条件です。つまり、お父さんが会社員で健康保険組合に入っていて、お母さんが別の保険(たとえば国保)に加入している場合は、合算できません。

また、外来・入院の区別や70歳以上の特例も関係してくるため、世帯合算を検討する場合は、保険者に事前に確認するのがおすすめです。

入院が長期になる場合の注意点

長期入院が続くと、当然ながら医療費の自己負担も大きくなります。高額療養費制度を活用すれば、限度額以上の医療費は戻ってきますが、それでも月ごとの自己負担が発生するため、家計への影響は無視できません。

ここで注意すべきは「特定疾病療養制度」や「多数回該当」の扱いです。特に、同じ人が過去12か月のうちに3回以上高額療養費の支給を受けた場合、4回目以降は自己負担限度額が引き下げられます(多数回該当)。

たとえば、通常の自己負担限度額が80,100円だった人が4回目以降になると、44,400円にまで軽減される場合があります。これは非常に大きな差なので、長期治療を受ける際には必ずチェックしましょう。

よくある誤解と正しい理解

高額療養費制度には多くの誤解があります。よく聞くのが、「高い医療費がかかったらすぐに全額戻る」と思っているケースです。実際には、自己負担限度額を超えた分しか戻りませんし、戻るまでには通常2〜3か月程度かかります。

また、「病院が申請してくれる」と誤解している人も多いですが、原則として本人が健康保険組合に申請しないと支給されません。申請し忘れると、お金が戻らないままになる可能性があります。

さらに、「医療費控除と併用できない」と思っている方もいますが、これは誤解です。高額療養費制度で戻ってきたお金を除いた実質の自己負担額を、医療費控除として申告することは可能です。

こういった誤解を解消することで、制度を正しく、最大限に活用することができます。

「7月の22,000円」はなぜ対象外?高額療養費に該当しないケース

自己負担が少ないとどうなる?

高額療養費制度は、医療機関などで支払った「自己負担額」が、その月の限度額を超えたときにその超過分が戻る制度です。逆に言えば、たとえば7月に医療機関で22,000円の自己負担があったとしても、その金額が限度額に満たなければ、制度の対象にはなりません。

たとえば、年収約370〜770万円の人の限度額は「80,100円+(医療費-267,000円)×1%」という計算式が使われますが、医療費全体がそこまでかからなければ、当然戻るものはありません。

これは、ちょっとした風邪の通院や検査だけで終わった月によくあるケースです。大事なのは、「高額」と感じても、制度上は対象外になる場合があるという点です。

過去の医療費はまとめられる?

「先月の医療費も高かったから、今月と合わせて申請できないの?」という質問も多く寄せられます。しかし、残念ながら高額療養費制度では月ごとの計算が原則なので、別の月の医療費を合算することはできません。

たとえば、6月に30,000円、7月に40,000円かかったとしても、それぞれの月で限度額を超えていなければ、制度の対象外です。このように「月単位」での判定になるため、医療費のタイミングによってはもったいなく感じることもあります。

この制約を理解していないと、「合算できると思っていたのに…」と損した気分になる人もいます。入院や手術の予定がある場合は、なるべく月内に収まるよう調整するのも一つの工夫です。

月をまたいで受診した場合の落とし穴

入院や検査が月をまたいでしまうと、それぞれの月で個別に計算されてしまうため、高額療養費のメリットを十分に得られないケースがあります。

たとえば、7月31日に入院して、8月5日に退院した場合、7月分と8月分で別々に医療費が計算されます。それぞれの月で限度額を超えなければ、どちらの月も支給対象になりません。

これは医療機関の請求のしくみとも関係しており、1か月ごとに区切って計上されるためです。もし治療が長引く可能性があるなら、できる限り月初に受診するなど、事前にスケジュールを調整することが損を避けるポイントです。

薬局や検診費用は対象?

高額療養費制度では、「健康保険が適用される医療費」のみが対象となります。つまり、保険証を使わずに支払った自由診療や、人間ドックのような検診費用、予防接種などは対象外です。

また、薬局で処方された薬の費用についても、保険が適用されていれば自己負担分は対象になりますが、市販薬やサプリメントなどは当然ながら対象にはなりません。

よくある勘違いは「全部の医療関連費が戻る」と思ってしまうことです。実際には、保険診療で支払った自己負担分だけが対象であり、領収書なども必要になるため、あらかじめ分けて管理しておくとスムーズです。

注意すべき非対象の費用例

以下のような費用は、高額療養費制度の支給対象外となります:

費用の種類 対象になる? 備考
入院時の食事代 食事療養費として別途請求される
差額ベッド代 個室など希望した場合の費用
健康診断・人間ドック 任意の検査は対象外
自由診療(インプラントなど) 保険外治療
診断書の発行手数料 書類関係は非対象

これらは医療費としては発生しても、制度ではカウントされません。入院や手術の際は、事前に何が対象かを確認しておくことが、想定外の出費を防ぐコツです。

限度額はどう決まる?所得区分別の早見表とシミュレーション

前年所得で区分される理由

高額療養費制度で設定されている「自己負担限度額」は、前年の所得に基づいて決まります。これは、各人の経済状況に応じて無理のない自己負担にするための配慮です。

たとえば、年収が高い人ほど自己負担限度額も高くなり、逆に低所得者の場合は限度額が低めに設定されています。これは公平性を保つためのしくみであり、たとえば突然病気で高額な治療が必要になったとしても、所得に応じて救済される制度になっています。

注意点として、対象となるのは「前年1月〜12月」の所得です。つまり、たとえば2025年7月の医療費に適用される限度額は、2024年の所得をもとに判断されることになります。退職や転職などで所得が変わった場合も、前年の実績が基準になるため注意が必要です。

区分ごとの自己負担限度額早見表

以下の表は、70歳未満の人を対象とした「自己負担限度額」の区分一覧です。

区分 年収の目安 自己負担限度額(1か月)
約1,160万円〜 252,600円+(医療費−842,000円)×1%
約770〜1,160万円 167,400円+(医療費−558,000円)×1%
約370〜770万円 80,100円+(医療費−267,000円)×1%
約〜370万円 57,600円
住民税非課税世帯 35,400円

このように、自分の年収に応じて限度額が段階的に設定されており、医療費が高額になったときの負担が大きく変わってきます。

所得が変わった年の注意点

前年の所得が反映されるため、たとえば退職したばかりで現在の収入が少ない場合でも、前年に高所得だった人は「高額所得者扱い」になります。

このような場合でも「限度額適用認定証」を申請することで、一時的に実際の所得状況に基づいた対応をしてもらえる場合があります。とくに国民健康保険では、住民税非課税証明書などを提出することで、自己負担限度額の減額を受けられることもあります。

また、途中で収入が下がった場合は、翌年の4月から反映されるので、タイミングを把握しておくと無駄な出費を防げます。

70歳以上の限度額は違う?

70歳以上になると、高額療養費制度の限度額の計算方式が大きく変わります。医療費の負担が少なくなるよう優遇されているのが特徴です。

たとえば、70歳以上で住民税課税の方の場合、外来(個人ごと)の限度額は「18,000円」、入院・外来を合わせた世帯単位では「57,600円」が基本です。さらに、住民税非課税世帯の場合は「8,000円」など、大幅に自己負担が軽減されます。

このように、高齢者は医療の必要性が高いことを考慮して、低い限度額が設定されているため、家族に高齢の方がいる場合はしっかり制度を把握しておくと安心です。

高所得者と低所得者の差

同じ20万円の医療費がかかった場合でも、高所得者と低所得者とでは戻ってくる金額が大きく変わります。

たとえば、自己負担限度額が8万円の人は12万円が戻りますが、限度額が25万円の人は1円も戻ってきません。逆に言えば、低所得者ほど制度の恩恵を受けやすくなっているのです。

そのため、年収や課税状況に応じて、自分がどの区分に該当するのかを事前に確認しておくことが大切です。市町村や保険組合に相談することで、より正確な判断ができます。

実際いくら戻る?8月の医療費20万円のケースを徹底検証

所得別に比較!戻る金額の違い

同じ20万円の医療費でも、年収によって自己負担限度額が異なるため、戻ってくる金額は人によって大きく差が出ます。ここでは実際に「8月に20万円の医療費がかかった」というケースで、所得区分ごとにいくら戻るのかを比較してみましょう。

区分 年収の目安 限度額 戻る金額(20万円-限度額)
ア(約1,160万円〜) 約252,600円 252,600円 0円(戻らない)
イ(約770〜1,160万円) 約167,400円+α 約170,000円 約30,000円
ウ(約370〜770万円) 約80,100円+α 約87,000円 約113,000円
エ(〜370万円) 約57,600円 57,600円 約142,400円
オ(住民税非課税) 約35,400円 35,400円 約164,600円

このように、収入が少ない人ほど、同じ医療費でも大きな払い戻しが受けられることがわかります。自分がどの区分に当てはまるかを確認しておくと、支払いの見通しも立てやすくなります。

健康保険適用後の計算例

高額療養費制度は、健康保険が適用された後の「自己負担額」に対して適用されます。たとえば、入院費用が総額60万円だったとしても、保険適用により3割負担で18万円になります。この18万円が自己負担額となり、そこから限度額を引いた金額が払い戻し対象となります。

つまり、実際に支払った金額ではなく、保険適用後の負担額がベースになる点に注意が必要です。また、保険適用外の差額ベッド代や食事代などは含まれないので、領収書を確認する際は「保険診療分」に注目しましょう。

入院・手術・検査の具体的費用と内訳

医療費の内訳は、以下のような費用項目から構成されています:

  • 入院基本料(1日あたり×日数)

  • 手術料(種類により変動)

  • 検査料(MRI、CTなど)

  • 処置料・薬剤費

  • 初診・再診料

例えば、盲腸の手術と3日間の入院を伴うケースでは、以下のような費用になることがあります:

項目 金額(概算)
入院3日 約45,000円
手術 約100,000円
検査・処置 約30,000円
薬代 約10,000円
合計(保険前) 約185,000円
自己負担(3割) 約55,500円

この例では限度額が57,600円だった場合、自己負担内で収まるため、支給はありません。逆に限度額が35,400円の人であれば、差額の約20,100円が戻ってくることになります。

医療費控除との併用メリット

高額療養費制度で戻ってきたお金は、確定申告の「医療費控除」には使えませんが、自己負担として残った部分については控除対象となります。

たとえば20万円の医療費から限度額分の支給があり、実質の自己負担が60,000円だった場合、その金額が医療費控除の計算対象になります。ただし、医療費控除は「10万円以上 or 所得の5%超」が対象となるため、それ以下だと控除にはなりません。

つまり、支給された金額は申告しないようにして、純粋に自分が負担した金額だけを申告するのがポイントです。医療費が多かった年は、申告して税金の還付も狙うとダブルで得します。

返金までの期間と手続きの流れ

高額療養費の返金を受けるには、通常2〜3か月程度の時間がかかります。理由は、まず医療機関が健康保険組合に診療報酬明細書(レセプト)を提出し、それが審査されてから支払い処理が行われるためです。

手続きの流れは以下のとおりです:

  1. 医療機関で自己負担額を支払う

  2. 健康保険組合に申請書を提出

  3. 組合側で審査(1〜2か月)

  4. 承認後に振込(通常3か月以内)

なお、「限度額適用認定証」を病院に提示していれば、あらかじめ自己負担額を限度額までに抑えることができるため、大きな出費を避けられます。

限度額適用認定証をすぐにもらう方法と注意点

発行場所と方法(オンライン・窓口)

限度額適用認定証(げんどがくてきようにんていしょう)とは、高額療養費制度の「あとから払い戻し」ではなく、あらかじめ自己負担額を限度額までに抑えるための証明書です。病院の窓口にこの証明書を提示することで、医療費の支払い時点で高額な自己負担を防げます。

この認定証は、加入している健康保険組合や協会けんぽ、市区町村の国民健康保険窓口などで発行されます。申し込み方法は主に以下の2つです。

  • 窓口での申請:本人確認書類を持参して申請すれば、その場で受け取れる場合もあります。

  • 郵送・オンライン申請:書類に記入して郵送するか、電子申請サイト(マイナポータルなど)を使って申し込みます。

特に会社員の場合は、勤務先の総務部に依頼すれば手続き代行してもらえることも多いので、確認してみるとスムーズです。

即日発行はどこまで可能?

「緊急で入院することになった」「明日手術がある」など、すぐに限度額適用認定証が必要になるケースもあります。結論から言うと、即日発行は可能な場合もありますが、保険の種類や自治体によって異なります

たとえば、国民健康保険では市区町村の窓口で即日発行してもらえるケースが多くあります。一方、協会けんぽや企業の健康保険組合では、郵送対応が基本で、数日〜1週間ほどかかることもあります。

ただし、マイナポータルを利用した電子申請が可能な場合、処理が迅速に行われることもあり、状況によっては数時間で手続きが完了することもあります。

病院での支払いが迫っている場合は、医療機関に事情を伝え、後日精算や一時立て替えに対応してもらえるか相談してみるのも一つの手です。

申請に必要な書類とは?

限度額適用認定証の申請には、以下のような書類が必要です:

  • 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)

  • 健康保険証の写し

  • 限度額適用認定申請書(自治体や保険組合の公式サイトで入手可能)

また、国民健康保険の場合は世帯全体の所得情報が必要になることがあり、同一世帯での扶養状況や課税状況によって、限度額が異なる場合があります。

申請に不備があると認定証の発行が遅れるため、必要書類はしっかりチェックしてから提出しましょう。特に引っ越しや転職直後は、加入保険が変更になっていることがあるので注意が必要です。

国保と社保での違い

限度額適用認定証の申請先と制度の運用は、国民健康保険(自営業やフリーランスなど)と、社会保険(会社員、公務員など)で違いがあります。

比較項目 国民健康保険 社会保険(協会けんぽ等)
申請先 市区町村の役所 協会けんぽや健康保険組合
所得区分の判断 世帯単位 被保険者単位
即日発行 多くの自治体で可能 一部は郵送で数日必要
所得証明の提出 必要な場合あり 原則不要(企業側で把握)

このように、制度そのものは共通していますが、申請の流れやスピード感に違いがあるため、どちらに加入しているかによって対応が異なることを知っておきましょう。

認定証を提示し忘れたら?

限度額適用認定証を持っていても、病院の窓口で提示し忘れると、通常通りの3割負担で医療費を支払うことになります。ですが、あとから認定証を提出しても医療費の精算は可能です。

多くの医療機関では、支払い後であっても認定証を持参すれば、支払額の過剰分を返金してくれます。ただし、医療機関によっては一度支払った金額をそのまま扱い、健康保険組合に対して後から高額療養費の申請をする必要がある場合もあります。

大切なのは、領収書と診療明細を必ず保管しておくこと。これらがあれば、後日申請によって高額療養費として払い戻しを受けることができます。

制度を正しく活用するために知っておきたい実例と体験談

子どもの入院で活用した例

子どもの急な入院は、親にとって大きな不安のひとつです。とくに入院日数が長くなれば、医療費はどんどん膨らみます。そんなとき、高額療養費制度を知っていたおかげで、大きな負担を回避できたという家庭の例をご紹介します。

小学3年生の子どもが肺炎で10日間入院し、治療費は総額で約45万円。保険適用後の自己負担は13万5,000円(3割)でした。しかし、事前に限度額適用認定証を用意していたため、実際の支払いは57,600円で済みました。

後日、保険組合から通知があり、医療費の内訳も明確に記載。制度を利用していなければ、13万円以上の出費となるところでした。保険証と認定証のダブル持参が、家計を守る強い味方になります。

がん治療で数十万円戻った体験談

40代男性ががんの手術と入院を受けた際の体験です。がん治療では入院・手術・抗がん剤など多くの費用が重なり、1回の入院で総額100万円近い費用が発生しました。

健康保険で3割負担としても30万円を超える支払いになりますが、限度額適用認定証を提示していたことで、支払額は約87,000円に抑えられました。しかも、退院後の外来治療で月ごとに20万円以上の医療費がかかったため、高額療養費制度により毎月10万円以上が戻ってくることになったのです。

このように、慢性的な治療が続く場合は、限度額の軽減に加え、「多数回該当」によってさらに自己負担額が軽減されるメリットも大きく、長期治療を支える安心材料となります。

限度額認定証を知らずに損した話

50代女性のケースでは、制度を知らなかったことで損をした体験があります。婦人科の病気で5日間の入院と手術を受け、医療費は約60万円。保険適用で自己負担は18万円近くにのぼりました。

退院後に制度の存在を知り、健康保険組合に申請したところ、高額療養費の支給が認められ、約10万円が戻ってきました。しかし、最初に限度額適用認定証を提示していれば、病院での支払い自体が6〜7万円ほどで済んだのです。

大きな出費に困った後に、制度を知って「もっと早く知っていれば…」と後悔したとのこと。制度の知識があるかどうかで、心理的にも金銭的にも大きな違いが出ると痛感したそうです。

高齢の親の入院に対応したケース

高齢の親が突然入院することになり、慌てて手続きに追われたという50代男性の体験もあります。親が住民税非課税世帯だったため、限度額はわずか35,400円。ところが、知らずに窓口で約15万円を支払ってしまいました。

数日後に市役所に相談し、限度額適用認定証を取得。病院に提出したところ、過剰に支払った分が返金されました。最終的には10万円以上が戻り、制度のありがたみを実感したとのことです。

親の医療に関しては、本人が制度の内容を把握していないことも多いため、家族が代理で確認・申請しておくことがとても重要です。市区町村の窓口では親切に対応してくれるケースが多いので、困ったらまず相談してみるとよいでしょう。

緊急入院時の備えと準備

突然の事故や発熱で緊急入院が必要になることもあります。そういったケースでは、事前に限度額適用認定証を用意しておくのが難しいですが、退院後に申請しても高額療養費としての払い戻しは可能です。

ある大学生の母親が交通事故で救急搬送されたケースでは、当日の支払いは15万円。後日、限度額適用認定証を提出して保険組合に申請したところ、約9万円が戻ってきました。

このような緊急時にも対応できるよう、認定証の申請方法や手続きの流れはあらかじめ把握しておくと安心です。また、家族間で保険証の所在や加入している保険の種類を共有しておくことも、いざというときに役立ちます。

【まとめ】高額療養費制度で損しないための知識と行動リスト

高額療養費制度は、医療費の自己負担が一定額を超えた場合に、その超過分が戻ってくるという非常にありがたい制度です。しかし、制度の仕組みを正しく理解していないと「損」をしてしまうケースが多く見られます。

この記事で紹介した内容をもとに、制度をうまく活用するために覚えておきたいポイントを「行動リスト」としてまとめました。

知っておくべき制度のポイント

  • 自己負担限度額は「月ごと」「所得別」に計算される

  • 医療費が限度額に満たない月は対象外

  • 限度額適用認定証を使えば、窓口での支払いを抑えられる

  • 所得が低い人ほど制度の恩恵が大きい

  • 長期治療には「多数回該当」の軽減措置あり

やっておくべき行動チェックリスト

チェック項目 状況 備考
自分の健康保険の種類を把握しているか? ✅ or ❌ 国保/社保で手続きが異なる
所得に応じた自己負担限度額を確認済みか? ✅ or ❌ 年収ごとの表を参照
限度額適用認定証を取得したか? ✅ or ❌ 予定入院前に申請がベスト
家族の医療費を合算できるか確認したか? ✅ or ❌ 同じ保険に入っていれば可能
医療費控除との併用を検討しているか? ✅ or ❌ 確定申告で節税効果あり

これからの備えとして

  • 認定証の発行先(市役所/健康保険組合)をブックマーク

  • 家族に制度のしくみを共有しておく

  • 医療費の領収書・明細は月ごとに保管

  • 予期せぬ入院に備え、手続き方法を家族で確認

  • 制度に関する最新情報を年1回チェック

高額療養費制度は、「知っているかどうか」で損得が大きく変わる制度です。病気や入院は誰にでも起こり得ること。もしものときに慌てず対応できるよう、制度の基本と活用法を日頃から理解しておくことが、家計と心の両方の安心につながります。

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